アメリカのバイデン大統領は、連邦政府の借入限度額の引き上げ問題が長期化すれば、19日から広島で開かれるG7サミットを欠席する可能性があると述べ、話題となっています。

さて、それでは、この債務上限問題はどのようなものなのか、簡単に要約します。

  1. アメリカの債務上限は法律で決まっており、その上限を引き上げるには議会の承認が必要。認められなければ、国債の元本や利払いに回す資金が調達できず、債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある。
  2. デフォルトにはいくつかの種類があり、元本そのものが返せない完全デフォルトから、利払いが遅れる程度のテクニカルデフォルトまである。アメリカの国債はほぼ100%デフォルトしないという前提でみんなが購入しているため、利払いの遅れ等のテクニカルデフォルトが起きた場合、その信用に傷がつく可能性がある。
  3. アメリカの債務は上昇の一途をたどっており、現行の法定上限は約4230兆円となっている。債務上限の見直しは第二次大戦以降で100回を超え、過去には期限を超えて政府機関が一時閉鎖されたり、職員の給料が払えず一時的にリストラが発生したりするなどの事例がある。
  4. 債務上限問題が解決しないで引っ張られた場合、アメリカ政府は暫定予算を組んだり、期限を伸ばしたりする可能性がある。しかし、この問題が引き続き未解決の場合、アメリカ金融市場には物価高騰、景気減速リスク、銀行不安といったさらなる不安要素が重なると予想される。

以上が簡単な要約です。ここで、注目されることは次の通りです。


1.両院での合意はされるのか?
過去幾度となく、結局は合意に至るとして、政治的茶番ともいわれているが、今回、共和党は債務上限引き上げと引き換えに社会保障支出を削減する計画を提案しているが、バイデン大統領は無条件の増額を求めている。十分に債務不履行になる可能性がある。
2.デフォルトさせるのか?また、その規模と方向性は?
アメリカが米国債のデフォルトを決断したとして、実質負担がかかるのは債権保有者ではないかという問題。現在すでに多くの格付け会社が、米国債の格付けの引き下げを検討。法律上、債務不履行に債権者の支払いが後回しにされるため、債権の信用自体が下がっている現在、デフォルトするリスクはなく、日本のような大量保有者に実質的な負担を強いる形になるのではないかという問題がある
3.債券価格の下落による金融不安
金融機関のほとんどが債権価格下落による含み損を抱え、倒産も相次いでいる。現状、預金保護は働いているが、それがいつまで続くのか、どのぐらいの規模で完結するのかがわからず、さらなる金融不安を生む可能性がある。

これらのことから、直近市場は様子見ムードが漂い、全方向へのリスクヘッジが重要だと思われる。

投稿者 とまよん

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